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【2015年11月号】 準備はできていますか?ストレスチェック制度が スタート!

ニュース

今年12月1日より、「ストレスチェック制度」が義務づけられます。
50人以上の労働者がいる事業場が対象で、
年1回のストレスチェックを実施しなければなりません。
どのような制度で、そして、企業等はどう対応しなくてはいけないのか――。
その概略を紹介しましよう。

 

労働者のメンタルヘルスは今や重要課題の一つ

 改正労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度は、厚生労働省によると「定期的に労働者のストレスの状況について検査を行い、本人にその結果を通知して自らのストレスの状況について気付きを促し、個人のメンタルヘルス不調のリスクを低減させるとともに、検査結果を集団的に分析し、職場環境の改善につなげる取組」とあります。また、同省導入マニュアルには「〈うつ〉などのメンタルヘルス不調を未然に防止するための仕組み」とも書かれています。
 この制度を導入する背景は、近年、うつなどの精神疾患で悩む労働者の急増があり、精神的な不調は休職や自殺の引き金になるばかりでなく、生産性を低下させ、企業等にとっても無視はできません。
 同省の統計データによると、うつ病と診断された人は2008年に100万人を突破。うつ病や統合失調症、不安障害等を含めた精神疾患の患者数は2011年で320万人を超えているのです。職場に1人のうつ病の人がいるとその職場には7人の予備軍がいるといわれています。メンタルヘルスへの対応は労働環境の大きな課題といえるでしょう。

 

ストレスチェック制度とは

 この制度の概要を整理しておきましょう。
◉「ストレスチェック」とは、ストレスに関する質問票
(選択回答)に労働者が記入し、それを集計・分析することで、自分のストレスがどのような状態にあるのかを調べる検査のこと。
◉2015年12月から、毎年1回、労働者が50人以
上いる事業場での検査実施が義務づけられる。(2015年12月1日から2016年11月30日までの間で1回目を実施すること)
◉対象となる労働者は一般定期健康診断の対象者と
同様。ただし、労働者にはストレスチェックの検査を受ける義務はない。※契約期間が1年未満の労働者や、労働時間が通常の労働者の所定労働時間の4分の3未満の短時間労働者は努力義務。
◉ストレスチェックの結果は実施者(医師等)から直
接本人に通知される。
◉高ストレスとの結果が出た労働者が面接指導を
希望した場合、医師による面接指導を実施すること。
 さて、どのように実施していけばいいのかは、厚生労働省がホームページで掲載している「ストレスチェック制度 簡単! 導入マニュアル〈実施手順〉」(図①)をもとに、主な留意点を見ていきましょう。

 

ますますやる気が出る「レッテル褒め」

 部下に自信をつけさせ、部下の実績や能力に気付いていることを伝えるのが「レッテル褒め」です。
 以前、私が勤めていた旅行会社で「リゾートのことなら吉田に聞け」と言われたことがありました。たまたまリゾートホテルで過ごす企画が受注になっただけで、リゾートに詳しい人は他にもっといるはずと思いました。でも、これからさらに頑張らないといけないとプレッシャーを感じましたが、認めてもらえた喜びもありました。
 「この企画ならA君だ」
 「この業務ならBさんだ」
 と、オーソライズ(権威づけ)すると、部下もその分野のスキルをより磨こうとします。
 それからミーティングなどで、レッテルを貼った分野についての「講師」をさせてみましょう。これは社歴の浅い、若年層の部下に自信をつけさせるにはもってこいの方法。もちろん自信をつけるという意味では、ベテランでも、昇進が遅れている人や自信を失くしている人などにも「レッテル褒め」と「講師」は効果的です。
 といっても赴任したばかりでしたら、まだわからないので、部下をよく観察することです。それも、「彼のストロングポイントはなんだろう?」と強みをまず見つけることで、その次に弱みを見つければいいのです。弱みはすぐに見つかるものですが、強みはなかなか見つけにくいもの。それが、この「レッテル褒め」をしていると、部下の強みを見つけるのがうまくなるものなのです。

 

実施前の準備段階

□ストレスチェック制度を実施する旨を発表して おく
労働者自身によるセルフケアや職場環境改善を通じてメンタルヘルスの不調を未然に防ぐのが目的です。不調者の発見だけが目的ではないと法令で明示されていると伝えましょう。
□事業所の衛生委員会で、ストレスチェック制度の 実施方法などを話し合う
誰に・いつ実施するのか、どんな質問票を使うのか、どんな方法でストレスの高い人を選ぶのか、面接指導はどの医師に依頼するのか、結果は誰が、どこに保存するのか等を話し合っておきます。
□決まったことは社内規程として明文化しておく
□実施者は職場の上司などではない
ストレスチェックを実施する者は、医師、保健師、厚生労働大臣の定める研修を受けた看護師・精神保健福祉士の中から事業者が選ぶこと。外部委託は可能。※産業医でも、自身の人事権が及ぶ部下にはストレスチェックはできません。つまり、対象となる労働者の人事権を持っている人は実施者になれません。
□実施者をサポートする実施事務従事者を置く
実施者の補助をする実施事務従事者を社内に置くといいでしょう。質問票の回収、データ入力、結果送付など、個人情報を取り扱う業務を担当。実施者同様、人事権を持つ人はなれません。外部委託は可能。
□面接指導を担当する医師を決めておく

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ストレスチェックの実施

□質問票に記入してもらう
質問票の指定はありませんが、厚生労働省の「国が推奨する57項目の質問票」(次ページ・図②)があるのでそれを使えばいいでしょう。ITシステムを使ってオンラインで行っても構いません。
□記入後の質問票は医師などの実施者が回収する
第三者や人事権を持つ職員が、記入・入力の終わった質問票の内容を閲覧できません。
□回収した質問票をもとに実施者が、高ストレス で医師の面接指導が必要な者を選ぶ
高ストレスとは、自覚症状が高い者や自覚症状が一定程度あり、ストレスの原因や周囲のサポートの状況が著しく悪い人のこと。
□結果は、実施者から直接本人に通知する
結果は事業者(企業等)には返ってきません。結果を入手するには、本人の同意が必要です。
□結果は、医師などの実施者や実施事務従事者が 保存する
結果を事業場内の鍵のかかるキャビネットやサーバー内に保管するのも可能ですが、第三者に閲覧されないよう、実施者や実施事務従事者は鍵やパスワードの管理をすること。保存期間は5年間。

 

面接指導の実施

□「医師による面接指導が必要」と通知された労
働者から申出があった場合は、医師に依頼して面接指導を実施すること
高ストレスと評価された労働者本人が面接指導を希望した場合、通知されてから1カ月以内に事業者は医師による面接指導を実施しなければなりません。
□就業上の措置について
面接指導を受けた労働者の就業上の措置は、面接指導を実施した医師から1カ月以内に意見を聴き、それを踏まえて労働時間の短縮などの必要な措置を実施しましょう。
□面接指導の結果は事業場で5年間保存する

 

職場分析と職場環境の改善

□ストレスチェック結果を、実施者に一定規模の集団
(部、課、グループ等)ごとに集計・分析してもらう
集団ごとに、質問票の項目ごとの平均値などを求めて、比較する等の方法で、どの集団が、どういったストレスの状況なのかを調べます。
※この場合、集団規模が10人未満の場合は、個人特定されるかもしれないので、全員の同意がないと、結果の提供は受けられません。原則10人以上の集団が集計の対象。
□集計・分析結果を踏まえて、職場環境の改善を行う

 

行政への報告

□労働基準監督署に報告する必要あり
労働安全衛生法第100条に基づく報告の違反の場合には罰則があります。

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