【2018年5月号】仕事でいっぱいいっぱいな状況から抜け出す方法 Part2[解決編]
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仕事の取り組み方を見直す
◆仕事にヒトをつける
社内にその人にしかできない業務がたくさん存在すると、個人も組織も仕事でいっぱいいっぱいな状況に陥ります。これを防止するために、「仕事にヒトをつける」という発想で、一つの仕事を複数の人間でこなすことができる状況を作るのです。
しかし、「うちのような少人数の会社では無理な話だ」という意見も多いでしょう。「仕事にヒトをつける」というのは、今いる人数にどのように業務を割り振りするかという視点だけで物事を考えるのではなく、業務の全体を今いる人数でこなしていくために、どのような仕組みがベストなのか、という視点で考えることでもあるのです。
◆仕事の整理整頓を行う
現在の業務が、今後の会社にとって必要なもの、最適なものであるとは限りません。環境が変化すれば、今後の会社にとって必要な業務、最適な業務も変化します。
ですから、現在組織内に存在する業務を体系的に洗い出したうえで仕事を整理整頓する必要があります。
・この業務は今後も必要な業務なのか?
・必要な業務だとしても捨てられる部分はないのか?
・捨てられない部分がない場合であっても、やり方を変えることで時間や労力を減らすことはできないのか?
という視点で内容を精査し、無駄な業務(不要となった業務)をカット。そうして役割分担の見直しを行えば、業務の絶対量を減らすことができ、仕事にヒトをつける状況を生み出すこともできるでしょう。
会議の無駄をなくすための6つの方法
会議は重要な業務ですが、現実は「いつも予定時間を超えてしまう」「何も決まらない」「決めても何も変化しない」が多く見られます。そのことにより、会議の存在が負担になり、仕事がいっぱいいっぱいになる原因を生み出しているのです。
そうなる会議の主な原因は、
・会議開始後に参加者が資料を読みふける
・会議中に話が脱線する
・会議中に議論が堂々巡りしてしまう
・会議中に沈黙する人が多く会議の雰囲気がだれてしまう
・決まったことが参加者たちに理解されていないまま会議が終了する
これらは「無駄な会議」を生む原因であり、どうすれば有意義な会議になるのか、その方法を見ていきましょう。
①司会役に徹する存在を設ける
進行役、いわゆるファシリテーターを設けます。役割は、会議開始後に参加者たちが資料を読みふける状況が生じた場合は議論に入ることを促します。議論の途中で話が脱線したのなら話の中身を本質的な部分に引き戻し、議論が堂々巡りすればそのことを指摘。会議中沈黙をしている人に対して発言を促し、会議終了後に参加者たちが決定事項を理解していることを確認する、といったことです。
②会議資料は事前に配布しておく
会議開始後に参加者たちが資料を読みふけることを防ぐため、会議の資料は事前に全参加者に配布し、内容を理解したうえで会議に参加することを徹底させます。
③議論の論点やポイントをホワイトボードなどに書き記す
会議の話が脱線することを防ぐために、議論の過程で明らかになった論点やポイントをホワイトボードなどに記録して”見える化”することが大切です。そうすることで参加者が、何についての結論が得られ、次に何についての結論を得なければならないのかが理解でき、的の外れた発言をすることが減るはずです。
④最初に参加者全員で、会議のゴールを確認し合う
会議中に議論が堂々巡りしてしまうことを防ぐために、会議を開始するときに参加者全員で今回の会議のゴール(=何について結論を出すのか)を確認し合いましょう。「新規顧客獲得についての会議」といったテーマだけの確認だと、発言が個人の主観に偏り、話が飛びまくります。ですから「新規顧客獲得について見込み客のリストアップに関する結論を得るための会議」というようにゴールを明確にすることが必要です。
⑤会議の時間は極力短く設定し、時間厳守を徹底すること
会議中に沈黙する人が多く会議の雰囲気がだれてしまうことを防ぐために、会議の時間を極力短く設定し時間厳守を徹底させましょう。会議の時間が長く設定されていると「そのうち発言すればいいか」という意識が生じ、口を開かなくなります。会議の時間が短く時間厳守が徹底されていれば、そのうちなどと考えることができなくなり、自ら発言しようとする人が増えるものです。
⑥議事録は、会議終了後すぐに配付する
決まったことが参加者たちに理解されていないまま会議が終了することを防ぐために、議事録を会議終了後すぐに参加者全員に配付しましょう。会議終了後は日常の業務に戻ることで、参加者の会議の決定事項に対する意識が薄れていきますから、議事録を簡潔にまとめたうえで、会議終了後直ちに配付することが重要です。
個人の意識を変える5つの方法
仕事の取り組み方の最適化を実現させるためには、組織上の仕組みを見直すことに加えて、個人の意識改革も必要です。
前回も述べましたが、仕事でいっぱいいっぱいな状況を生み出してしまう主な個人的な要因としては、
・仕事の進め方に計画性がない
・ダラダラと仕事をしてしまっている
・完璧を求めすぎている
ことが考えられます。そこで、個人の意識を変えさせるための方法を紹介しましょう。
①仕事の締切りを細かく設定することを習慣づける
部下に仕事を指示するときに、仕事全体の締切り期日は伝えますが、仕事を進める過程については何も指示をしないケースが多いようです。これでは仕事の効率を悪くし、仕事がいっぱいいっぱいになりかねません。「全体の終了が8月末まで。第一段階の顧客リスト化の終了は5月末までに、第二段階の顧客ごとの販売計画の提出は7月第一週末までに・・・」というように、仕事を進める過程ごとの締切りについても明確にすることを習慣づけましょう。そうすることで、仕事に計画性を持たなければならないという意識が芽生え、ダラダラと仕事を進める、完璧を求めすぎるといった行動も是正されていくはずです。
②仕事の優先順位を明確にすることを習慣づける
誰もが、いくつもの業務を抱えた状態で新しい仕事が割り込んできます。新しく入ってきた仕事に振り回され、中途半端な状態のままでやり残した仕事が山積みになり、いっぱいいっぱいになるわけです。
そこで、優先順位の高い仕事から処理することを習慣づければ、バタバタ感から解放されるはずです。優先順位を考えるうえで大事なキーワードは「タイミング」。「締切り」も大切ですが、特にタイミングは、「この仕事を早く片付けておけば、クライアントからの信頼を得られる」「この仕事を早く片付けておけば、周囲の人たちも助かる」というような”レスポンスを速めるべきことの理由”で優先順位を考えてみましょう。
③一日の仕事を終える時間を意識することを習慣づける
何時までに仕事を終わらせなければ(退社しなければ)ならないという縛りがないまま仕事をしていると、必然的にダラダラした働き方になってしまいます。
たとえば退社時間の縛りがあれば、決められた時間の中で終わらせなければならないため、仕事の締切りや優先順位を考えようとする意識も生まれてくるはず。退社時間を意識させる方法として、ノー残業デーを設けたり、各人の机やパソコンに今日の退社予定時間を書いた紙を張り付けたりするのも効果的です。
④長時間労働になっていることが後ろめたくなるような空気を作る
「夜遅くまで残っている人=頑張っている人、仕事ができる人」的な感覚に支配されている会社はいまだ多いことでしょう。それが、会社全体でのダラダラを生み出し、仕事でいっぱいいっぱいになることへとつながっていくのです。
そこで、毎晩のように遅くまで会社に残っていることが恥ずかしくなるような雰囲気を作れば、ダラダラ感も払拭されるはずです。それには経営者や管理職者自らが掲げた終業予定時刻に仕事を終え、堂々と退社する姿を見本として示すことが最も効果的だといえます。
⑤短い時間で結果を出した従業員を高く評価する
短い時間で結果を出した従業員が最も会社に貢献しているにもかかわらず、必ずしも高く評価されているわけではありません。
効率よく仕事を進めてきちんと結果を出している従業員を高く評価することで、組織全体で生産性の向上を追求していこうという雰囲気が生まれてきます。
さらに昇給や賞与などの評価基準の中に仕事の生産性の良し悪しを評価する項目を設けてもいいでしょう。インプット(=労働時間)とアウトプット(=仕事の成果)を数値化したうえで、生産性=アウトプット÷インプットで生産性の値を算出し、会社が予め設定した良し悪しの基準となる値を比較して評価するわけです。ぜひ試してみてください。